講座No.14「肉用家畜の産肉能力の遺伝的改良に関する技術」

2006.11.18 13:00〜16:00

場所:都城高専AVR室
講師:宮崎大学農学部原田宏教授


 世界の牛の総頭数は13億5179万頭(2001年)である。日本は肉用牛として280〜300万頭を飼育している。世界の人口は2001年の61億人から2050年には93億人になると言われている。中国では現在1人が1年間に食べる牛肉の量は1Kgに満たないが今後経済成長とともに増加していくだろう。
 原田教授は牛や豚などの産肉能力の向上について研究をしておられる。前般は牛が分類学上どこに位置しているのか、世界にはどんな種類がいるのかの紹介があった。後半で産肉能力の向上について勉強した。
 現在牛の改良は優良種雄牛を作るのに7年以上かけているが超音波診断装置を使用してこの期間を短縮できる。
 牛の量的形質(肉量、脂肪、乳量など)は相加的遺伝子効果(たくさんの遺伝子が集まって肉量が多いとか乳量が多いということになる)による。改良できる形質かどうかは遺伝率(ヘリタビリティ)によって決まる。遺伝率は(遺伝によるバラつき)を(遺伝によるバラつき+環境によるバラつき)で割ることによって求められる。
 たとえば繁殖形質は遺伝率が0.01〜0.1と低いので環境を良くしてやることで改良した方が良い。肉量形質は遺伝率が高いので選抜による改良が有効である。遺伝率が0.3以上は個体選抜、0.3以下は家系選抜。家系と個体の組み合わせで選抜する方法やBreeding Value(育種価)についての説明などもあった。


原田教授

牛の改良の流れ、現状では7年以上かかる

超音波診断により改良の期間を短縮できる

超音波診断装置ではこのように見える