講座No.10「天敵を利用した減農薬栽培技術」
2006.10.21 9:00〜12:00
場所:都城高専AVR室
講師:宮崎大学農学部大野和朗助教授
日本の農薬使用料は世界トップである。特に日本は世界の3%に相当する耕地面積で世界中で使用される農薬の12%を使用している。しかし昆虫には毒素分解能力を発達させる力もあり、さまざまな害虫群で多くの種が農薬に対して抵抗性を獲得してきている。 IPM(総合的害虫管理)という考え方があるが、理想と生産現場の現実にギャップがある。IPMに天敵などの生物的防除を組み込むのであれば、化学的防除をベースとした考え方から生態学に基盤をおいた(Ecologically based IPM)構成に考え直す必要がある。オランダは天敵利用技術の開発により農薬の大幅削減を達成している。 農薬を撒くことで天敵も殺し、結果として害虫を増やしている。ビニールハウスなどでは除草剤や除菌剤も使用し作るもの(作目)以外は全部殺すということになっているのでは。 日本は天敵を利用できる多様性は残っている。天敵にやさしい農薬を選んで使うなどきっちり農薬を使えば天敵の力を利用できる。地域や農地全体で天敵を増やすことが大事。 天敵利用の研究を清武で行っている。天敵は海外から購入しているが価格が高い。効率的に天敵を利用するための方法や土着の天敵の利用などにチャレンジされている話など、現場に密着した研究を続けておられる先生ならではの興味深い講義でした。 |
講義の様子 |
事例としてナスの栽培に天敵を利用したケースを紹介 |
大野助教授 |