三州風濤(さんしゅうふうとう)
著者名:田代 義博
内 容:歴史小説
出版社:鉱脈社
初 版:1992年7月30日
価 格:1600円
頁 数:299頁
販 売:市内各書店
著者紹介
田代 義博(たしろよしひろ)
昭和21年生まれ
宮崎県串間市市木出身
宮崎県立都城西高等学校教諭
著書 小説「都城の乱」鉱脈社
著書 小説「北郷忠相」鉱脈社
南九州文化研究会会員
帯書より
日向、大隅、薩摩南九州の戦国の世を舞台に歴史の転換期を描く長編小説
「都城の乱」「北郷忠相」につづく雄大なスケールの歴史小説
「師の御坊よ。和尚はこんなことをお考えになったことはあるまいか・・・。世の中が動いている、はっきりと言えぬのは口惜しいが、何かよくはわからぬが世の中が動いている・・・」
初夏の浜風の中で黄蝶がひらひら舞いながら、境内を行きつ戻りつ浮かんでいた。
「何か、もそっと大きな、うむ、そうよのう。地の軸が動く如く、世の中が大きくグルリと動いているとでも言おうか・・・」
義昌は考え込むようにしてそこまで言うと言葉を切った。
天澤は腕を組んだまま動かなかった。しかし目だけはしっかり義昌を見据えている。
−世の中が動く・・・地の軸がグルリと動くだと−
そうなのだ。今までの世では考えられぬことが、次々と生じて始めており、それは天澤も承知していた。言われてみればなる程、今までの舞台から次の舞台へと移ってゆく気配のようなものがあった。
(本文第一章より)
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